8月はほとんどヨーロッパに行っていて、旅行のことは別の記事に。

松濤、美しい影。

吉岡&アキオと松濤美術館の安藤照展。黙然たる反骨。初代忠犬ハチ公像は戦時中の金属供出で解体され、多くの作品が戦災で失われた。彼自身も空襲で亡くなっている。国家に奉仕する圧力が強まるなか、「ただ黙々と仕事をして居ります」と語り、静かに抵抗をし続けた人。

大人になるにつれて彫刻を見るのがたのしい。なんでだろう。学生の頃、彫刻を見て何か書く授業があったけど、その頃はなかなかわからない部分があった。安藤さんのうさぎのフォルムが好きだった。

8月に見て、一番衝撃を受けた『黒川の女たち』。岐阜県黒川村から満蒙開拓団として送り出されたあと、18歳以上の未婚女性たちがソ連兵らに性接待として差し出されていたという事実。ある方の息子さんが言っていた、これは日本の縮図なのだと思う、という言葉。何があったのか、振り返ろうとしないこと。忘れよう、なかったことにしよう、そうした風潮がなおさら強まるなか、心にずしんときた。

日比谷公会堂で「女の子たち風船爆弾をつくる」上映トークセッションへ。小林エリカさんと寺尾紗穂さんのお話を聞く。はじめて朗読歌劇を見て、2年経った。この作品に出会って、私の祖母の話をエリカさんが聴いてくださったときから、自分の中のなにかが大きく動いた感じがある。2年経って映像で見ても、同じ箇所でぼろぼろ泣いてしまった。トークもすばらしかった。

帰り道、有楽町駅の高架下を眺める。以前YAUの仕事で小林エリカさんと日比谷周辺を歩くレポートを書いたときに教えてもらった、このあたりが戦時中の風景が残っているという話。「第1有楽町橋高架橋」という文字が書かれている。1909年にレンガ造アーチの高架橋が完成し、一部いまもお残っていると思うんだけどこの部分はたぶん当時のものなんじゃないかな。戦時中の女の子たちもこのレンガを見ていたのだろうか。