2022年12月の日記

・2022.12.31

朝起きて、少しずつ読んでいたイリナ・グリゴレさんの『優しい地獄』を読み終える。すごい本だった。圧倒されながら、彼女が生きてきた軌跡をもっとたどりたくて、本の中に出てきた作品などをすべて書き留めた。社会主義から資本主義へ移っていったルーマニア。どんな場所なんだろう。ウクライナも含め、東欧の歴史についてあまりに知らなすぎる。

いつも大晦日に決まってやっている、一年の振り返りと、来年のことをなんとなく考える時間。いつもは目標として書いていたけれど、今年は目標、という言葉をやめてみた。あまり気負いたくなくって。もっと流動的でありたい。

今日から外に出られることになったので、少しだけ歩いただけなのに、ちょっと歩いただけで疲れ果ててしまった。この状態が続くのはかなりつらい。はやめに家に帰って、『ハンナは〜』の続きをみる。オフビートな映画。気分に合っていた。そのあと、紅白をひさしぶりに。アメリカのヒットチャートもわからなかったけれど、紅白もやはりわからない曲が多い。氷川きよしが美しかった。蕎麦がずっと好きじゃなかったけれど、たまたま買ったスーパーのカップそばがおいしくて、勝手に「蕎麦が嫌いなわたし」にしていただけかもしれない、という気もする。そうやっていつも避けていたものも、意外とおもしろがれるような年にしたい。

0時になって初詣に行こうとしたら、ずらっと長蛇の列ができていた。並ぶのが好きではないので、コンビニまで散歩して帰宅。平常運転のまま、新しい一年が始まる。

・2022.12.30

仕事を少し進めて、いくつか終えることができた。少しは活動できるようになってきた、よかった。毎年、年末にやっていることの一つ、2022年に好きだった音楽のプレイリストをつくる。ごはんを食べながら、エルピスの最終話。『ハンナはいつも、アイされたい』をちょっとだけみて、そのあとtvkでやってるアメリカのヒットチャートをぼんやりみていたらだいぶ時間が経っていた。昔こうやってずっとMTVのヒットチャートみてたな。知らない曲ばっかりだったけれどデュア・リパは最高。

・2022.12.29

年末最後のニュースレター、書けるかなあと思ったけれどなんとか書けた。

・2022.12.28

ひさしぶりにベッドから出て家事をしたりして過ごすことができた日。昨日に引き続きメールやslackに返信していくけれど、文章を組み立てていくことがいつもよりスムーズにできていない気がして、四苦八苦する。郵便受けに入っていた健康診断の結果は問題なしだった。よかった。夜は鍋。

・2022.12.27

窓を開けてベランダに出ると、目の前の家の青い瓦が太陽に反射して水面のきらめきみたいに見える。この家が好きな理由の一つかもしれない。海に光があたってきらきらすることを韓国語でユンスルっていうらしいけれど、そういう言葉がさまざまな言語において世界にいくつも存在していることに救われる。

まだまだ本調子ではないけれどやらなくてはいけないことがあり仕事、Caroline Polachekのライブ映像を観ながら。効率が悪くていつもの3倍くらい時間がかかってしまって、頭が割れそうに痛くなってしまったのでベッドに戻った。いつも休み方がわからずむずかしい。

・2022.12.26

熱は37度台と38度を行き来。病院に行って正式にコロナ陽性だと言われて、まだまだ起き上がって生活するにはしんどいのでベッドで過ごした。夜のイベントに出れずだいぶ落ち込む。目の奥の痛みに加え、味覚がおかしくて困る。食事がまだあまりちゃんとできない。

・2022.12.25

39.5度くらいまで熱があがってしまって、自分の部屋のベッドでくるまって過ごした。映画やドラマ、本などがぜんぶしんどくて頭に入らず、漫画だけが受け付けるようだったので『推しの子』を一気に読む。クリスマス。

・2022.12.24

なんだか熱っぽいな〜と思っていたらぐんぐん熱があがってきて、38度台に。自宅の抗原検査キットでは陰性だったけれど、濃厚接触者だったので確実にコロナだろうな。人に会ってなくてよかった。今まで感じたことのない強い寒気と、なぜか目の奥がめっちゃ痛い。

・2022.12.23

一年の終わりに向かうようになって、なんとなくかかっていた靄をかきわけかきわけ、向かっていきたいと思う方向が見えてきた気がする。

・2022.12.22

今日は、ポカリや熱冷まシートなどを買いにコンビニへ出かけたくらい。

・2022.12.21

同居人がコロナになったので、用事などをすべてキャンセル。つらそうで心配だ。もともとそれぞれの個室もあるし、家にいるのは好きだからあまり苦ではない。終わっていなかった仕事に集中することにする。

夜、自分の習慣をうまく管理できるアプリがあったらいいなあと思って、寝っ転がっていくつかアプリを試していたら1時間くらい経っていた。ものごとに手をつけるよりも、その手前で整理することに時間をかけすぎている気がする。ものごとを体系立てて整理するという行為自体に興奮する。散らばっていたものが整理されて、前に進んでいく姿に気持ちよさを感じる。もはや整理されさえすれば、その対象ができなくてもいいような気がする。これはいったい。

・2022.12.20

捗ったいい日。ふわふわの布団カバーと敷布団のおかげで布団に入るのがますますたのしみに。

・2022.12.19

松本二日目。隙間時間に仕事をしつつゆめさんといくつかお店をまわって、夕方東京へ。

・2022.12.18

松本へ。途中、雪景色がすごくかったなあ。電車の旅はたのしい。栞日でのイベントは、文月さんとうめさんが思いを込めて企画してくださったおかげで、昼の部も夜の部もすごく心に残る時間になった。会を重ねるたび、いままで話したことのなかった話ができている気がする。タイ料理屋で打ち上げした時間も含め。行きがてらかなり大胆に転んでしまったけれど。

松本の「Marking Records」というレコード屋さんは、東京にこういうレコード屋さんがあってほしいと思うような場所だった。また行きたいな。おすすめを教えてもらって、SAY SHE SHEというバンドの『PRISM』を買った。あと出たばかりのmmmさんのblueのアナログシングルカット版も。

・2022.12.17

休日らしい日。経堂でコーヒー飲んで、初めてゆうらん古書店さんに行った。おいてある本がとっても好み、通おう。エイミー・ベンダーの読んだことがないやつを買った。

日比谷で『あのこと』。衝撃的な映画。堕胎のシーン、客席にいた女性がううって声を出しているほどで、わたしも直視することができなかった。けれどアンヌはまっすぐと前を見つめ、「生まれなかったのは運がよかっただけ」と話していたアンヌの友人の言葉も忘れられない。すべてが運に委ねられていた時代、本当に恐ろしかったと思う。けれど今だってどうだろうか? 映画を観ながら自分の過去も振り返っていた。生理がこなくてこわくて目の前の勉強や仕事が頭に入ってこないことなんて何度もあった。避妊できていなくて、運頼みになっていたときもあったけれど、本当にたまたまだったと思う。だからといってセックスを避けるとかそういうことではなく、性に対して好奇心を持つことも、子供を持つかどうか選ぶ権利も、どちらも女性が持っていいものなはずだけれど、そうした社会の意識については『あのこと』で描かれていた時代と変わらない部分も多いなあと思ってしまう。

・2022.12.16

Twitterでイーロン・マスクに批判的なジャーナリストが凍結されているみたいで、そんなわかりやすいかたちの言論統制、本当に終わっているなあと思う。そういえばイーロン・マスクはグライムスと結婚して「X AE A-XII」という子供がいたけれど、いつのまにか破局していたのか。

コロナの不安に乗っかって戦争の不安もあって、こういうこともあって、今年は本当にいろいろありすぎている。

・2022.12.15

電車で、小学生くらいの女の子が熱心に読んでいる本に「恋に落ちるシュンカンって?」「相手をキュンとさせる方法」「私の恋はどうなる?」と書いてあって、今も昔も変わらないなあと思う。各質問に対する回答が一ページで収められているけれど、どれも決して一ページでは収まらないような複雑なものなのに。大学の友人たち、いつものメンバーでごはん。「人生を10周くらいしたら3回くらいは付き合ったんじゃないかと思う人いるよね」と言われて、人生を10周くらいしたらという想像をしたことがあまりなかったからびっくりした。

・2022.12.14

英会話の先生と前回に引き続き自民党の問題点などについて話す。子供を産み育てるのに日本だととてもお金がかかる、ということとか。先生はイギリス出身で、あとで調べたけれどイギリスはNHSという国営の医療制度があって出産に関する費用は無料、公立校の授業料は無料。本当に国によって全然違うんだな。先生が政治に憤りを感じすぎて授業時間を大幅にオーバーしていておもしろかった。

・2022.12.13

たくさん話して、何かが進んでいくような予感がした日。それがすごく嬉しかった。

・2022.12.12

WWWでタイコのライブ。晴れ豆とは違ったよさがあった。友達にたくさん会えたのもよかった、こういうの久しぶりだな。

・2022.12.11

NPRでAlex Gのライブやっててそれが本当に最高だった。YouTubeを適当に流し見していたらリリイ・シュシュの映像が出てきて、そういえばmitsukiが「グラインド」をカバーしていたなあということ思い出す。『アフターヤン』まだ見れてないな。その後mitsukiを聴いてたら流れてきた「Your american best girl」のMVでなぜか号泣してしまった。何度もこのMVは観たことがあるのに。そこにいられない孤独さを歌うのはmitsukiが世界で一番なんじゃないかなと思ってしまう。夜は下北沢でキミとケイと忘年会。

・2022.12.10

菊川の映画館Strangerに初めて行った。グッチーズのイベントで『リングワ・フランカ』。監督であるイザベル・サンドバルが演じる主人公のイザベラがあまりにも魅力的で、ずっと魅了されていた。音楽もとても印象的な映画だった。トランスジェンダーであり、移民である彼女にとって、日々を生きていくことがいかに過酷なものか。「うまく」やるには「女性像」に沿って生きて、恋愛、結婚…と進んでいくことが求められる、女性だから当たり前にケアを求められる。わたしとわたしとたらしめるものが奪われていくことが日常的に存在し、胸がひりひりとしていた。

・2022.12.09

B&Bで脇田あすかさんとのトークイベント。本のデザインに込めた思いについてたっぷり伺う。脇田さんにお願いして本当によかったなと思う。

・2022.12.08

下北沢で仕事、いつもの階段から見れる景色がだいぶきれいだった。月が大きい。

・2022.12.07

髪型を変えたから何なのか着たい服が変わってきて、着たい服を着るためにはもっと引き締まったからだが必要な気がして、ここ数年だらけていたことを反省している。やっぱりジムとかピラティスとか行ったほうがいいんだろうか。

・2022.12.06

早朝4時起きで取材。そのあと取材場所で銭湯に入って現地解散したあと、次の予定まで時間があったのでガストで仕事をする。注文したらネコ型ロボットが配膳してきて、予想してなかったこともあってかなりびっくりしてしまった。配膳されたお盆をとってもネコ型ロボットが帰ってくれなくて「はやくしないと冷めちゃうにゃ」のようなことを言われて本気で戸惑った。結局ピンポンを押して店員さんにネコ型ロボットの秘密のボタンを押して帰らせてもらった。コストカットなどいろいろあると思うけれど、さすがにディストピア感がすごくて、いつか全部こうなったらやだなあと思ってしまった。新宿で健康診断、いつもと違う場所を選んだけどいつも通ってるところの斜向いだった。健康診断後の定番としてロイホでごはん食べて帰った。

・2022.12.05

昼に辛ラーメンを食べたせいでずっと腹痛に悩まされていた。どしゃぶりの中、夜遅くに出かけて次の日の早朝取材に備え流山おおたかの森のビジネスホテルへ。きれいだけど壁が薄くて、どこか遠くの咳払いなどが聞こえる。ビジホで寝るの本当に苦手だ。

・2022.12.04

12月だ! 師走、という感じで慌ただしく進んでいく感じがあるけれど、この季節の澄んだ空気や太陽の低さが好きで、なんだか気分がいい。昨日は聴くと確実に踊りたくなるTodd TerjeのInspector Norseを聴きながら踊っていた。年末がたのしみすぎて。

このあいだパーマをかけたから、髪に水をつけて、自然乾燥させる。いつもは朝起きたら、できるだけアホ毛が出ずにボリュームが収まるように必死にコームでとかして押さえつけていたけれど、パーマをかけるとルーティーンに変化が出ておもしろい。高校生の頃に初めてパーマをかけたときのことを思い出し、気分がその頃に戻っている感じがある。当時は校則で「パーマ禁止」というのがあって、「このくらいゆるいパーマだったら地毛と言い張れるよね」と話していたなあ。今思うと、なんでパーマが禁止だったのかまったくわからない。当時はストレートパーマや縮毛矯正が大流行していて、「パーマ禁止」なのにストパーはOKだったのは何なんだろう。地毛が明るい友達は「地毛証明書」を提出していた。沖縄県は人権侵害につながる地毛証明書の廃止を求め、県立高校に通知したらしい。

いい天気、何度も乗り間違えながら、ひさびさの横浜へ。横浜駅の出口って難しくて、いつも自分がどこに向かっているのかわからなくなってしまう。STスポットでチーム・チープロの『京都イマジナリー・ワルツ』。KYOTO EXPERIMENTで上演したものの再演で、2020年の緊急事態宣言発令後にパフォーマーの松本奈々子さんが始めた、想像上のものや人、風景と踊ることを試みる「イマジナリー・ワルツ」を京都バージョンとして展開したものだそう。丁寧なリサーチによるワルツや社交ダンスの歴史や、ダンス芸妓の歴史などをたどりながら、制度によって一方的に身体が奪われていくことや、まなざしまなざされること、触れ合うことや手を取り合うことについて問いかける。重さ、イメージについて。視線を送るということは質量を伴わないはずなのに、こんなにも重みがある。それがはっきりと伝わり、鳥肌がたった。まだまとまりきっていないけれど、たくさんのことを考えた。

このあいだ倉田翠さんの『今ここから、あなたのことが見える/見えない』を観たときにも感じたけれど、作品におけるリサーチや制作の過程にとても関心が出てきた。演劇やダンスなどのパフォーマンスをこれまであまり数多く観れてこなかったなと感じているので、2023年はたくさん足を運びたい。

足早に横浜を出て、ひさしぶりの実家へ。「最近どう?」と父に聞いたら、「この生活はもう飽きたよ」と返ってきた。高齢者であり持病もあるということで注意をはらっている親にとっては、気が気じゃない日々はまだまだ続いている。コロナが始まった頃は実家に帰っていたけれど、それからは同じテーブルでごはんを食べておらず、今日も離れたところにあるテーブルで食事をした。触れ合えない距離感。昼に観たイマジナリー・ワルツのことを思い出す。母の食事はやっぱりおいしくて、ワインを少し飲みすぎてしまい、お酒の力で徐々に離れたテーブルが気にならなくなってくる。

もう着ないから、と、父が着ていたコートや母が使っていた鞄をたくさんもらった。母も父も父親を早く亡くしたから、わたしはおじいちゃんに会ったことがない。母方の祖父は洋画が好きで、海軍で勤めたあと、英語が好きだったことから米軍で勤めていたらしい。この話は今日始めて知った。その後石油会社で働き、クウェートで亡くなっている。クウェートってどんな場所なんだろう。母がクウェートに住んでいたら、どうだったんだろう。譲り受けたコートや鞄や、親から聞いた断片的な記憶をもう少しつなぎ合わせていって、そこから歴史をたどっていく年に来年はしたいなと思う。(me and youのニュースレターより)

・2022.12.03

我が家では蜘蛛と親しく暮らしているところがあるけれど、今日はリビングでごはんを食べているときに足長蜘蛛が天井から目の前に降りてきてさすがにびっくりした。そんなところに糸をはったのか?

gicipiのタートルが届いた。赤と紺。素材がいいのに割とお手頃でもっとほしくなっちゃう。冬はタートルネックを着ていると落ち着くので毎日着たい。

・2022.12.02

来年に向けてとても大事な連絡をして、これから先のことがたのしみで仕方がなくなった。

・2022.12.01

朝は英会話。先生に「自民党がポリスタっていうムービーを始めたからそれを観て感想を教えて」と言われて「ポリタスじゃないんですか?津田大介の」って言ったら「調べたらわかる…」とのこと。フィーリングで通い始めたけれど、先生の関心のあるイシューが自分とかなり重なっていてだいぶたのしい。勇気を出して行ってみてよかった。

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